別冊ele-king ヒップホップ誕生50周年記念号 / 監修 小渕晃 編集 野田努
Book Review
別冊ele-king ヒップホップ誕生50周年記念号
- 100枚の名盤ガイド ライターの偏愛盤を紹介 -
タイトルにあるように2023/8/11のHip-Hop生誕50周年を記念して、100枚をとりあげた名盤ガイド。 80年代が18枚、90年代が44枚、00年代が10枚、10年代が24枚、20年代が4枚と、ややばらつきがあるが、 各年2枚を選んでいるわけではなく、歴史的価値で選んでいるので、こうなっているようだ。 また、1アーティストあたり1枚、ただし、Dr. Dreだけ2枚(The Chronicと2001)、選ばれている。
そういうわけなので、hip-hop50年のベスト100というわけにはいかないが、概ね、妥当なセレクションだと思う。 一方、音楽的価値より歴史的価値を重視した選出傾向にあるので、若干の違和感は仕方ない。
名盤ガイド部分は、1ページ当たり、1枚を取り上げ、これまた歴史的価値をメインにした、きちんとした解説が記載されており、 このへんは好感が持てる。
これ以外には、Hip-Hopファッションの変遷や、グレッグ・テイト、渡辺志保、つやちゃんなどのコラムも 載っているが、付け加え程度かな。
また、100枚選者12人による”50年分の私の偏愛アルバム/シングル”のコーナーがあり、1人当たり最大3枚ピックアップ しているが、こういうパーソナルなものも、かえって面白かった。
現時点でHip-Hop50周年を総括したような書籍はこれくらいなので、そういった意味でも手元に置いておいても良さそうだ。