ミュージック・イズ・ヒストリー / 著者 クエストラブ, ベン・グリーンマン
Book Review
ミュージック・イズ・ヒストリー
著者
クエストラブ, ベン・グリーンマン
出版社
株式会社 シンコーミュージック・エンタテイメント
ページ数 / サイズ
504ページ / 14.8 x 21 x 3.4 cm
発売日
2023/3/29
定価
3200円(税抜き)
- 映画『サマー・オブ・ソウル』でアカデミー賞とグラミー賞をダブル受賞したザ・ルーツのドラマー、クエストラブがアメリカの案額と歴史を振り返る決定版‼ -
ご存じ、The Rootsのドラマー、Questloveの私的音楽体験記。最近では映画プロデュースで名声を得ているが、著作も3作目(邦訳は初)ということで文化的側面でも高い才能を持つ人である。 伝記的なところも若干あるが、エッセイ集と言ってよいと思う。
本人が誕生した1971年から2001年までの30年については、1章=1年の構成になっていて、章の先頭に、Questlove目線/黒人目線での、その年のでき事がまとめてあり、その後、数ページが本文という割り当てになっている。
本文であるが、その年に流行った音楽や出来事を発端に社会、文化など様々な範囲にわたってのエッセイとなっており、散文的ではあるが、きちんとした教育を受けた素養のあるひとなのが良く判る。
デビュー前の最初の25年くらいは、そんな調子で、聴くほう中心だが、デビュー後は業界の中の人としてのさまざまなエピソードが書かれているので、これは大変面白く、また、新たな発見も多い。例えば、
-自分たち、The RootsのことをHip-Hop側の人とは思ってない。
-自分のことをドラマーというより、DJだと思っている。
-ATCQのThe Love Mocementを全く評価していない。
など、さまざまである。特に最終章の2002年から現在まででは、そんな話も多く、総括にもなっている。。
これ以外にも多数のミュージシャンや楽曲に触れている。また、テーマ別アルバム選が12個ほど載っており、Questloveの嗜好や音楽 についての考え方が垣間見れる。
本編で450ページ弱で、字も大きくは無いので、結構な読みでがあるが、ここ50年の黒人ポピュラー音楽史を、断片的にではあるが、中の人目線でおさらいすることができる。
また、本人による日本語訳向けイントロダクションもあって、好感が持てる。