アメリカ音楽の新しい地図 / 著者 大和田俊之
Book Review
アメリカ音楽の新しい地図
アメリカ音楽最新形
-2010年代以降のアメリカ音楽シーンを彩るポップスターたち。激変する政治経済、人口動態、メディア、そしてコロナ禍の中で、彼らの輝きはいかなる現代アメリカの相貌を描きだすのか。『ア メリカ音楽史』の著者にして、ポピュラー音楽研究の俊英が放つ最新のアメリカ音楽グラフィティ!-
テイラー・スウィフト、ケンドリック・ラマー、ブルーノ・マーズ、カーディ・B、ラナ・デル・レイ、チャンス・ザ・ラッパー、BTSといった近年、活躍中のアーティストをとりあげ、社会的背景や文化的背景におけるポジショニングを考察し、作品を再評価した評論集。 web筑摩上で連載されたものを書籍としてまとめたものであり、今日(2022/6/18)現在も、テイラー・スウィフト編をそのままwebで読むことができる。(https://www.webchikuma.jp/articles/-/606)
純粋なBlack Music本では無いが、多くの部分を占めているので、購入してみました。
”文化系のためのヒップホップ入門”では、入門ということもあり、判りやすくカジュアルな表現に努めている著者ではあるが、こちらの本では、やや硬めな内容になっており、 慶応の教授が本職ということもあって、他社の著述を引用しつつ、これを論拠にして、自分の主張をジャスティフィケーションするといった論文チックなアプローチが散見される。 それでも目の付け所と洞察力はさすがで、カントリーミュージックの左傾化、アジア系アーティストの活躍、ランキング・システム、BLM、パンデミックなど気になる話題と、前出のアーティストの言動や動向との 関係性を明らかにし、普通では気づかない視点を与えてくれている。