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Kendrick Lamarの2年振りとなる6作目。TDEを離れてからは初となる。2024年はDrakeとのビーフの話題だけかと思ったが年末に突如リリースされた。
タイトルのGNXはKendrickが生まれた1987に販売された車の名前で父親が乗っていたとのこと。アートワークではその車の前で(ビーフに買って)チャンピオンベルトをしめたKendickが立っている。
そんないきさつや⑧の曲名からも判るように地元LAをレペゼンした作品になっており、原点回帰というか、Rap Gameに戻ってきたぞという意欲が現れている。なので、Guestも地元からが多いが、著名なのはRoddy Richと地元ではないが元レーベルメートのSZAくらい。ただ、SZAはメローな2曲に参加し、可憐な唄を披露している。
また、featuringではないが、Kendrick本人がドジャースの試合でのパフォーマンスを見て声をかけたというメキシコ人シンガーのDeyra Barreraも参加している。
制作はいつものSounwaveに加え、Jack Antonoffが全曲に携わり、Kamasi WashingtonやTerrace Martinもクレジットされて いるが、残念なら楽器は演奏していない。
Track自体は手堅くて、他ジャンルには手を出さず、これぞHip-Hopという印象で、緩急をつけた作品が並んでいる。
KendrickのRapには全体的に怒りのトーンを感じるものが多く、珍しく、声を荒げたり、コミカルな部分があったり、唄ったりと幅広く表現している。
Tampa出身で26歳のRapper, DoechiiのTDE所属後初のMix Tape。2020年代に入って、TikTokでのバイラスヒットを経て、TDEでの女性初Rapperとなり、当作のリリースに至っている。2025年のGrammyにも2部門でノミネートされ、おおきなブレークを果たしている。なお、ニックネームは土地柄を反映してSwamp Princessとのこと。
Hip-Hop, R&Bに拘っているが、曲調は様々で、それでもスローな曲が多くなっている。唄が中心となる曲も多く、もろに今どきのR&Bっぽいなどもあり、終わりにかけては流麗なTrackが続く。
Rapはゆるめ、力強いもの、高速ラップなど使い分けて、かなりのスキルの高さを示している。今回、著名なProducerは少なめでシンプルなTrackが多いが、当面、このまま進んで欲しい気もする。
2年ぶりとなるKehlaniの5作目。癒しやオーガニックといった言葉で形容されることが多いKehlaniではあるが、今回は、そんな殻を破った意欲作になっている。
全体的にはダークなトーンのものが多く、曲調が本当に様々で、R&Bに軸足を置きながら、ロック、カントリー、アフロ、フォーク、ハウスなどを行ったり来たりしていている。
Kehlaniもそれに合わせて、唄い分けていて。従来の可憐さは少し控えめ。ただ、その声で全体のまとまりを保っている気がする。ゲストは少な目で、Jill ScottとYoung Miko参加の⑥はエクスペリメンタルな感じ。⑧はNigeliaのOmah Layを招いたアフロビート曲となっている。
Tyler, The Creatorの3年ぶり7作目。常に高レベルな作品をリリースし続けているTylerだが、当作でも好調を維持している。導入部は母親Bonitaによるモノローグとアフリカっぽいチャントとリズムから始まっており、全体として本人の過去を振り返ったようなLyricになっているようだ。そんなわけでタイトルはChronicleとTylerの苗字であるOkommaを足した造語になっている。ただ、内省的でダークな印象はなく、曲調はかなりバラエティに富み、Popで聴き易いハッピーな感じのTrackが続き、メロディアスな曲も多いく。全曲、本人による制作でSong Writingも中心となっているが、想像力や才能は天才的だと思うほど、よくできている。その中でも、矢野顕子のヨ・ロ・コ・ビをイントロからループさせた⑬や、ZambiaのNgozi Familyの曲とBlack Sabbathをサンプルしたシングル③が話題となっている。フィーチャリングとしてクレジットされてないPlayboi Carti, Donald Glover, Rex Orange County, Thundercat, Steve Lacy, Inflo, Solangeも含めて、ゲストもかな り豪華で、これもTylerの才能に引き寄せられているのだろう。
Sonic Youth解散後、2作目となるKim Gordonのソロアルバム。リリース時の年齢は70歳ではあるが、攻撃的先鋭的でExperimental Hip-Hopにカテゴライズできそうな作品になっている。ギター、ドラム、ベースに演奏を目いっぱい歪ませたものに、ノイズ、効果音を加えたトラックと、Kimの厭世的なRapというか語りが合わさったサウンドはかなり強烈で迫力がある。中毒的なところもあるが、自分の感性とは合わないかな。
2024年秋にリリースされたDenzel CurryのMix Tape。この少し前にドロップされたKing of the Mischievous South, Vol. 2に数曲足されたComplete盤である。ややこしいが、そのVol. 2は10年前にリリースされたVol. 1の続編である。
前作のMelt My Eyez See Your Futureはメローな印象が強かったが、今回はサウス色全開のコアなRap Albumになっている。GuestやProducerもA$AP Mobbの二人を除きサウス方面からの参加となり、メジャーな人たちは少な目。Trackもバウンシーなものが多く、ただ、後半にかけてはメローな曲も少々。
どうしても同じようなTrackがならんでしまうが、Denzalの唄うようなRapは芯が強く、個々の曲のクオリティは高い。
2024/11/21の恵比寿ガーデンホールのライブを見に行ったが、半数程度は、当作からの披露であり、盛り上がっていた。なお、④参加のTiaCorineは父方の祖父が日本人のクオーターだそう。
才人というか異端というかな二人、James BlakeとLil YachtyによるDuo作。
Lil Yachty自身が良い意味で強固なスタイルを持たない人なので、どうしてもJames Blakeのトーンが強くなっている。逆にLil Yachtyとしては、また新たなバリエーションを得たというところだろうか。
静謐で茫洋としてアンビエントな全体感に、ところどころエレクトロニック、ジャングル、ジューク、ドリルにジャズ的な音を組み込んだサウンドは十分に刺激的。そんなトラック群にときどきエフェクトを効かした二人のVocalが溶け込んでいる。
Lil Yachtyは、④⑧などを除いて、だいぶRapper色を抑えているので、Hip-Hopファンにとっては物足りないかもしれない。
オーストラリアはアデレード出身のシンガー、SiAの6年ぶりとなるオリジナルアルバム。声を聴く限りでは、もっと若いかと思っていたが、1990年代から音楽活動していて、48歳(@2024)になる。CDジャケットで、だんだん、素顔を隠すようになってきたのも彼女の特徴となっている。
サウンドはPopでありながら、硬質なところがあって、流し聴きを許さないような切実な印象を受ける。音が隙間なく押し寄せてくる壮大な感じの曲も多くなっている。
SiAの声は高音は澄んでいて、中低音には迫力があり、パーソナルなことや恋愛を感情豊かに唄っている。
Amineとのコラボ作を挟んでのKaytranadaの5年ぶりの3rdtアルバム。21曲で60分強の大作になっている。
Popで軽快な曲やスムースな曲を切れ目なくつないだ一つの作品に仕上がっていて、ダンスフロアにぴったりと言える。ただ、それだけでなく、落ち着いた雰囲気が微妙にミックスされていて、一段、音楽的価値を高めている気がする。
サウンドはR&Bとハウスを融合させてようなもので、Childish Gambino参加の⑪なんかWeekndの曲といっても良さそう。唄物が多いので、GuestもSingerが多く、それ以外にも、Rochelle Jordan, Durand Bernarr, Don Toliver, Ravyn Lenae, Tinashe, Anderson .Paak, SiR, Thundercat, PinkPantheressなどで豪華で通好みなものとなっている。
FutureとMetoro BoominというATLを代表する盟友コンビによるコラボ作。当然、FutureがRAP、Metro Boominが制作担当ということになるが、意外にも若手Priducerとの共同Produce曲が多数となっている。なお、この後3週間後には”We Still Don’t Trust You”というアルバムをリリースし、多作家ぶりを発揮している。
全体のトーンとしてはゆったりしたメランコリックな曲が多く、ダウナーな印象で、もちろんTrapが中心となっている。ゲスト参加はそれほど多くはないが、Kendrick LamarとDrake、J. Coleとの今年最大のビーフに油をそそいだ⑤が含まれている。