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今年(2025年)9月の来日前に、突如リリースされたTyler, The Creatorの8作目。前作より9か月というかなり短いインターバルでのリリースとなったが、その分、30分強の短めのアルバムになっている。
コンセプチャルであった前作とは作風も大きく変わっていて、ダンサブルで聴き易いPopな曲がそろっている。このあたり、①にSk8brdという名前で参加しているPharrellの影響が大きい気もする。
80年代のディスコ、ファンク、ハウスを下敷きにしたような曲がほとんどではあるが、そのものではなく、Tylerらしい捻じれた感覚が加わっている。また、多くの曲で本人のVocalも聴くことができる。
単独プロデュースで、これだけのアルバムを作ってしまうとは、Creatorをアーティスト名に持つのも伊達じゃないと思う。
Erika De Casierの4thアルバム。前作より1年と短いインターバルのリリースとなった。
WritingとProduceを自身1人で担い、ゲストも無しということで、極めてプライベート感の強いアルバムになっている。UK寄りのTrackは引き続きだが、トリップホップやアンビエントにもだいぶ近づいており、漂うようなスロー曲で構成されている。これに浮遊感のある囁くようなVocalが一体化している。
北欧の人ではあるが、スタイリッシュさより、茫洋とした空気感に包まれるような感覚を覚える。
特大ヒットとなった前作SOSのデラックス盤2枚組。そのSOSでは100曲以上、レコーディングしたとのことで、そこから19曲を集めたのが一枚目で、二枚目はSOSが丸ごと収まっている。但し、残り物感は全くなく、一曲一曲のクオリティは高く、統一感はSOSより高い気もする。
全体的にSZAらしい、穏やかで柔らかい曲や、懐かしい感じのするメロディアスな曲で占められており、一層の癒しを感じることができる。SZAのナチュラルな歌唱と一体化している。
良曲ばかりであるが、③での盟友Kendrick Lamarとの掛け合いなんか、特に素晴らしい。
Playboi Cartiの5年ぶりのアルバムは30曲、77分弱の大作となった。(しかも直後に4曲追加されたバージョンもリリースされている)。これだけの曲数になると、まとまりを求めることはできないが、やや散漫なところも個性と言えそう。
Trapベースにゆるめのトラックに、さまざまなスタイルで、思いついたことを吐き出すようなフローを繰り出している。親友のLil Uzi Vertに加え、Kendrick Lamar, Travis Scottという大物ゲストを招いているが、あくまでも脇役に押しとどめている。
サウンドのほうは、音響的であったり、インダストリアル色が強かったりするのが特徴的だ。
Maryland州生まれで、Virginiaをベースに活動するRapper, McKinley Dixonの5th アルバム。黒人作家Toni Morissonの作品にインスパイアされた3部作の締めくくりとなり、少年が失踪した友人を探すというコンセプトに基づいている。
サウンドはホーンやストリングスまではいった本格的な生音Jazz Bandをベースにしており、その重厚さに最初から最後まで圧倒される。しかも、小洒落たJazzではなく、躍動感のあるカッコいいJazzである。Hip-Hopっぽい曲やRockっぽい曲もあり、最後まで一気に聴きとおすことができる。
McKinleyのRapもいろいろなスタイルを駆使して、ストーリーテラーっぶりを発揮している。
Zambia出身でカナダで活動するRapper, Backxwashの2025年最新作。現在、34歳だが、デビューは2018年とやや遅目。
Transgenderな人(今は女性)ではあるが、Rapは、かなり力強く男っぽさが残っている。そして、とにかく切実さが押し寄せてくる感じ。
自身が全曲ProduceするTrackはとにかくヘビーでロックっぽいところやエクスペリメンタルところもある。
Lyricは内省的で社会への怒りを感じさせるコンシャスなものになっている。
Kali Uchisの1年ぶり5作目。今回のLyricは英語で、3年連続でのアルバムリリースとなるが、これまでとちがって、ドリーミーでスイートで穏やかな作品になっている。
出産と母の死という大きな出来事を続けて経験したことが、Lyricにも投影されており、また、作詞作曲も自身によるもので、制作にもかかわっており、しかもゲストは無しとゴージャスに仕上げたパーソナルな作品とも言えそう。その分、同じような曲調が並ぶのは致し方ないところか。
Trackは懐かしい感じのなソウルでアトモスフェリックなスロー曲で占められており、とろけるようなVocalと一体化している。アルバムタイトルにあるように、ちょっとした手紙仕立てになっていて、CDには小さな封筒にKali Uchisからのメッセージがしたためられていた。
ともにシカゴ出身のSabaとNo IDがタッグを組んだシカゴ愛溢れる作品。オールドソウルのサンプリングをメインにしたスローなTrackにSabaによるラブソングやコンシャスなRapがマッチしており、穏やかな曲も多くて、何とも心地よい。
Vocal Guestによるソウルフルな唄声も同じく曲に溶け込んでいる。ただ、テーマやコンセプトを決めずに、楽しみながらできあがった曲の集合体ということらしく、これはタイトルにも現れている。ふたりの対話をスナップショットした作品集とも言えそうだ。
2年前にアルバムデビューを果たしたPinkPantheressのMix Tape。drum’n’bassを中心としたUKクラブミュージックにPopでダンサブルなメロディと彼女のキュートで甘いVocalという組み合わせは今まで通り。
9曲で20:33とコンパクトな構成にしたことにより、ある意味、無駄のない、表現したいことのみに集中したアルバムになっている。ただ、ノルウエー人Producerのaksel arvidが全面参加したTrackは、サンプリング多めで、音楽としてのクオリティはもちろん、上がっている。
Eminemの4年ぶりのアルバム。自身のオルターエゴであるSlim Shadyの死をテーマにした作品で、長年の決着をつけたということであろう。
Lyricでは、z世代のキャンセルカルチャーを皮肉ったりしている。身内の制作陣で固めたTrackは、今までとあまり変わりない気もするが、暖かみのあるスローバラードの⑮⑲もあって、一層、馴染みやすいものとなっている。
50歳を越えても⑧の高速ラップなど、流石のラップスキルで、まだまだ若さを維持している。