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Megan Thee Stallionの2年ぶり、メジャー3作目。蛇がコンセプトになっているらしく、①②⑨⑩⑱などは蛇の種や蛇に関することがタイトルになっている。なんでも、脱皮を繰り返さないといけないというMeganの思いが反映しているようで、CDのブックレットで大胆なセミヌードになっているのも、そういう意図があるのかもしれない。女性ラッパーのトップの1人の地位を得た自信と心機一転みたいなものも感じられる。
なんといっても、われわれ日本人にとって、馴染み深いのは⑦と⑩で、世の中でもバズった⑦では、ラッパー千葉雄喜をゲストに迎え、一部日本語でのRapも披露している。また、⑩では、日本アニメおたくの本領を発揮して、呪術廻戦よりサンプリングしたり、その登場人物やNarutoを歌詞に織り込んだりとしている。
アルバム全体としては、Trapを中心としたサザンラップで、相変わらずの力強いが印象的。Victoria Monetを迎えたメローな⑬や軽快な⑯がアクセントになっている。

Lucky Dayeの3年ぶりの2作目。引き続き、D’Mileがメインプロデューサーとして、堅実かつ、Lucky Dayeの世界観をうまく表現した楽曲を提供している。
今までの路線を維持しつつ、ファンク、ロック、プリンスっぽい曲や、甘めのバラードなど聴きどころは多め。全体的にインスト部分が多く、ちょっと長めの曲が多いのも、特徴的である。
また、Bruno Masrsが制作に参加した⑩などは、いかのもBrunoらしい曲になっている。
アラフォーになったということで、後半にかけてエモーショナルに唄いあげる曲もでてくるが、まだまだ若さを感じさせてくれるのが印象的だ。

Remi Wolfの3年ぶり2作目。ベースは前作同様、カラフルで元気でノリの良いガールポップであるが、ディスコ、レゲエ、ファンク、インディロック、サイケ、バラードなど様々なジャンル・曲調も取り込んでいて、飽きさせない。そこは高校生以来の付き合いというJared Solomon(Solomonophonic)の制作によるところが大きそう。
変わったところではEl Michel AffairのLeon Michelsも3曲で制作陣に加わっている。また、キャッチーなメロディラインも魅力の一部であり、Lyricでは日々の様々な心情を唄っている。前作に比べると、癖の強さが抜け気味で、半面、一般受けはしそうだ。

2024年にブレークを果たし、“Year Go!”でグラミーにもノミネートされた、メンフィス出身のRapper, GloRillaの公式デビューアルバム。28歳と今となっては遅めのデビューではあるが、既に貫禄と落ち着きが感じられる。
構成は南部らしいTrapチューンが多くなっており、Vocalゲストを招いた⑦⑭⑮がアクセントとなっている。また、Latto, Sexyy Red, Megan Thee Stallionと女性Rapperが多めに客演しており、一大勢力になったことを見せつけている。
さらに自身のルーツであるGospel曲⑨はインパクト大。ここでKirk Franklinが”完璧でなくてもいいんだよ”と説いているが、GloRillaも①で”失敗に勝るものはない”とRapしており、中低音で力強いフローも合わせて、彼女の生き方を垣間見えた気がする。

Hip-Hop界のLegendによるコラボレーション作。Commonとしては3年ぶりとなる。単一曲での共作は過去にもあったが、アルバム全体としては初となる。
良質なTrackに良質なRapが組み合わされば、高品質な作品が生まれるのは当然といえば当然だが、それにしても素晴らしい。的を得たサンプリングに、ソウルフルでJazzyなTrackは、ゆったりとして、ファンクで心地よく、Commonが気持ちよくRapしているのが良く判る。
派手さは無いが、Hip-Hop本来の魅力を思い出させてくれるアルバムだ。

Kendrick Lamarの2年振りとなる6作目。TDEを離れてからは初となる。2024年はDrakeとのビーフの話題だけかと思ったが年末に突如リリースされた。
タイトルのGNXはKendrickが生まれた1987に販売された車の名前で父親が乗っていたとのこと。アートワークではその車の前で(ビーフに買って)チャンピオンベルトをしめたKendickが立っている。
そんないきさつや⑧の曲名からも判るように地元LAをレペゼンした作品になっており、原点回帰というか、Rap Gameに戻ってきたぞという意欲が現れている。なので、Guestも地元からが多いが、著名なのはRoddy Richと地元ではないが元レーベルメートのSZAくらい。ただ、SZAはメローな2曲に参加し、可憐な唄を披露している。
また、featuringではないが、Kendrick本人がドジャースの試合でのパフォーマンスを見て声をかけたというメキシコ人シンガーのDeyra Barreraも参加している。
制作はいつものSounwaveに加え、Jack Antonoffが全曲に携わり、Kamasi WashingtonやTerrace Martinもクレジットされているが、残念なら楽器は演奏していない。
Track自体は手堅くて、他ジャンルには手を出さず、これぞHip-Hopという印象で、緩急をつけた作品が並んでいる。
KendrickのRapには全体的に怒りのトーンを感じるものが多く、珍しく、声を荒げたり、コミカルな部分があったり、唄ったりと幅広く表現している。

Tampa出身で26歳のRapper, DoechiiのTDE所属後初のMix Tape。2020年代に入って、TikTokでのバイラスヒットを経て、TDEでの女性初Rapperとなり、当作のリリースに至っている。2025年のGrammyにも2部門でノミネートされ、おおきなブレークを果たしている。なお、ニックネームは土地柄を反映してSwamp Princessとのこと。
Hip-Hop, R&Bに拘っているが、曲調は様々で、それでもスローな曲が多くなっている。唄が中心となる曲も多く、もろに今どきのR&Bっぽいなどもあり、終わりにかけては流麗なTrackが続く。
Rapはゆるめ、力強いもの、高速ラップなど使い分けて、かなりのスキルの高さを示している。今回、著名なProducerは少なめでシンプルなTrackが多いが、当面、このまま進んで欲しい気もする。

2年ぶりとなるKehlaniの5作目。癒しやオーガニックといった言葉で形容されることが多いKehlaniではあるが、今回は、そんな殻を破った意欲作になっている。
全体的にはダークなトーンのものが多く、曲調が本当に様々で、R&Bに軸足を置きながら、ロック、カントリー、アフロ、フォーク、ハウスなどを行ったり来たりしていている。
Kehlaniもそれに合わせて、唄い分けていて。従来の可憐さは少し控えめ。ただ、その声で全体のまとまりを保っている気がする。ゲストは少な目で、Jill ScottとYoung Miko参加の⑥はエクスペリメンタルな感じ。⑧はNigeliaのOmah Layを招いたアフロビート曲となっている。

Tyler, The Creatorの3年ぶり7作目。常に高レベルな作品をリリースし続けているTylerだが、当作でも好調を維持している。導入部は母親Bonitaによるモノローグとアフリカっぽいチャントとリズムから始まっており、全体として本人の過去を振り返ったようなLyricになっているようだ。そんなわけでタイトルはChronicleとTylerの苗字であるOkommaを足した造語になっている。ただ、内省的でダークな印象はなく、曲調はかなりバラエティに富み、Popで聴き易いハッピーな感じのTrackが続き、メロディアスな曲も多いく。全曲、本人による制作でSong Writingも中心となっているが、想像力や才能は天才的だと思うほど、よくできている。その中でも、矢野顕子のヨ・ロ・コ・ビをイントロからループさせた⑬や、ZambiaのNgozi Familyの曲とBlack Sabbathをサンプルしたシングル③が話題となっている。フィーチャリングとしてクレジットされてないPlayboi Carti, Donald Glover, Rex Orange County, Thundercat, Steve Lacy, Inflo, Solangeも含めて、ゲストもかなり豪華で、これもTylerの才能に引き寄せられているのだろう。

Sonic Youth解散後、2作目となるKim Gordonのソロアルバム。リリース時の年齢は70歳ではあるが、攻撃的先鋭的でExperimental Hip-Hopにカテゴライズできそうな作品になっている。ギター、ドラム、ベースに演奏を目いっぱい歪ませたものに、ノイズ、効果音を加えたトラックと、Kimの厭世的なRapというか語りが合わさったサウンドはかなり強烈で迫力がある。中毒的なところもあるが、自分の感性とは合わないかな。