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2024年夏にリリースされたRapsodyの5年振り4作目。⑨でついにグラミーを受賞している。
5年という不在感を埋めるように22曲の大作になっているが、各曲が短めで、押しの強い曲は少ないので、ゆったりと聴けると思う。
BLK ODYSSY, S1, Eric G, Major Sevenなど中堅の制作陣が、ストレートなHip-Hopを中心に, Reggae, スローなR&Bなど様々な曲調のTrackを提供している。
アルバムを通して、Rapsody自身の内面に問いかけた自己探求と回顧を経て、自信を取り戻すといたストーリーが根底に流れていて、その始まりとして②は本人の1st nameを曲名にしており、後半にかけて癒しを感じさせる曲も並んでいる。
ベテランの域に達している人であるが、フローのスキルだけでなく、リリシストとしての一面が強く押し出されたアルバムになっている。

UK中部のBradford出身のSinger, Producer、Nia Archivesの2024年夏のデビューアルバム。ジャマイカ移民3世であり、子供のころから、Reggae、Hip-Hop, Jungleなどに親しんでいたとのことで、2020年代にはいって本格的音楽活動を開始し、EPをいくつかリリース後、比較的早くメジャーからのアルバムリリースに至っている。
本人も言っているように、JungleとBrit Popの融合がコンセプトとなっているアルバムで、Popで明るいのが何よりの特徴となっている。メロディも馴染みやすく、広く受け入れられそう。
VocalはErykah Baduっぽいところがあって、柔らい印象を受ける。Writing,とProduceがほぼNiaとEthan P Flynnだけなので、全体的に単調なところはあるが、ノリを楽しむだけで十分な作品になってると思う。

去年(2023)年のDanny Brownとのコラボ作が大好評だったJPEGMAFIAのソロとしては5作目。
パンク、ヘビーメタル、サイケにブラジルのバイリファンキ、Jazzなど、様々なジャンルの音楽を雑多に混ぜ込んだコラージュ的なアプローチは今まで同様。ヘビーなTrackが多めだが、メローな⑬で和ませてくれたりもしている。
全体的には、Experimentalでありながらも、孤高な感じでもないので、比較的聴き易く、次に何がでてくるか、耳をそばだてる必要がある。
これをゲストプロデューサー少な目でやりきってしまうのは流石だと思う。

現在活動休止中のAlabama Shakesを率いるBrittany Howardのソロ2作目。2024年春リリース時は35歳だったが、貫禄はそれ以上に感じる。
骨太なギターロックがベースにはなるが、唄を聴かせるバラードも多く、ドリーミーな曲、ハウス風、プリンスっぽい曲など、予想以上に多彩で濃密な作品になっている。
自宅スタジオでつくったデモをもとに仕上げたということで、サウンドはラウドでローファイな印象を受ける。BrittanyはVocalだけでなく、全曲Produceに、ギターなど楽器もこなし、マルチな才能を見せつけている。

2023, 2025と続けてGrammyを獲得し、女性R&B Singerのトップグループの1人となったMuni Longの旧名義を含むと4枚目のアルバム。フロリダ出身で2009年にPriscilla Renea 名義でデビューし、その後はSong Writerとしての活動が目立っていたが、2020年代に入り、Muni Longに改名してからの活躍は周知のとおり。
そんなわけで活動歴は十分で、年齢的にも30台半ばだが、声からは少し若い印象を受ける。
TrackはTricky Stewartが6曲の制作に携わっており、スローが多めのオーソドックスなR&Bで安定感がある。他にミディアムやアップでクラブっぽい⑧、GroRilla参加の⑨なども。
Lyricは始めて自身の経験や感情を表現しているとのことで、⑭では離婚による心の痛みを唄っている。

Lalah Hathawayの7年ぶり7作目となるオリジナルアルバム。90年代から活躍してた人なので、少ない気もするするが、客演が多く、ずっと一線にいた人でもある。
タイトルのVantablackは”人工の最も黒い物質として世界記録を誇る非常に黒いコーティング”とのことで、ほとんどの光を吸収するという。黒人としてのアイデンティティを見つめなおし、様々な音楽に接してきたLalahを投影した作品にぴったりである。
①⑤⑧などは、そういった意識をストレートに現した曲であるが、それだけではないので、全体感は決して重くはない。曲調もバラードだけでなく、アップ、ミディアムをバランスよく配しており、ダンサブルな曲もある。
また最後の2曲が、インスト曲から主にハミングだけの曲と続き、アルバムの締め方として斬新だと思った。前作から引き続きのPhil BeaudreauにJuan Andres Carreno Arizaを加えた、畑違いの制作陣と、曲によってはしっとりと、または軽やかなLalahのVocalの相性も良さそうだ。

2000年代にR&B Duo, Floetryの一員として活躍し、2010年代以降はソロとして活動しているMarsha Ambrosiusの4枚目のソロアルバム。
2021年には録音は完了してたとのことだが、ProducerのDr. Dreが脳の病気だったこともあって、やっと仕上げが終わり、2024年夏のリリースとなった。そのDreが全面Produceしており、しかも全曲オーケストラ演奏ベースにサンプリングを巧みに融合させた何ともゴージャスな作品になっている。
全曲スローでJazzyなスタンダード集のような趣き(CDジャケットもそんな感じ)で、Hip-Hop要素はやや控えめ。⑫では、先達のアーティストの名を挙げて、リスペクトを示している。40歳台中盤を迎えたMarshaが緩急をつけた歌唱で貫禄を見せている。

R&B SingerでProduceやSong Writingでも著名なLeon Thomasの2ndアルバム。ゲストとしても参加しているTy Dolla $ignのレーベルENMNYの第1号アーティストでもある。
もともと俳優として子役時代から映画/TV/Broadwayで活躍してた人で、そのつながりでAriana Grande作品の制作に携わり、その後、Drake, Ella Mai, Chris Brown, Kehlani, Rick Ross, SZAなど錚々たるアーティストの作品にProduce, Song Writingで参加し、グラミーも受賞してと輝かしい実績とともに、2023年にSingerとしてアルバムデビューを果たしている。
ベースにあるのは、70年代から受け継がれるオールド・ソウルで、ゆったりとした曲が多い。そんなサウンドそのままの曲が半分くらい。あとは、Rapのように唄ったり、Trapであったり、声にエフェクトを効かせたりと変化をつけている。アルバムリリース時に30歳であったLeonの唄は正統的で、やや抑え気味。声のトーンは少し高めではあるがお、年相応な印象を受ける。
ちなみに、アルバムタイトルの”MUTT”はバイクメイカーで、1曲目冒頭のバイクの排気音がそれなのではないかと思われます。

Megan Thee Stallionの2年ぶり、メジャー3作目。蛇がコンセプトになっているらしく、①②⑨⑩⑱などは蛇の種や蛇に関することがタイトルになっている。なんでも、脱皮を繰り返さないといけないというMeganの思いが反映しているようで、CDのブックレットで大胆なセミヌードになっているのも、そういう意図があるのかもしれない。女性ラッパーのトップの1人の地位を得た自信と心機一転みたいなものも感じられる。
なんといっても、われわれ日本人にとって、馴染み深いのは⑦と⑩で、世の中でもバズった⑦では、ラッパー千葉雄喜をゲストに迎え、一部日本語でのRapも披露している。また、⑩では、日本アニメおたくの本領を発揮して、呪術廻戦よりサンプリングしたり、その登場人物やNarutoを歌詞に織り込んだりとしている。
アルバム全体としては、Trapを中心としたサザンラップで、相変わらずの力強いが印象的。Victoria Monetを迎えたメローな⑬や軽快な⑯がアクセントになっている。

Lucky Dayeの3年ぶりの2作目。引き続き、D’Mileがメインプロデューサーとして、堅実かつ、Lucky Dayeの世界観をうまく表現した楽曲を提供している。
今までの路線を維持しつつ、ファンク、ロック、プリンスっぽい曲や、甘めのバラードなど聴きどころは多め。全体的にインスト部分が多く、ちょっと長めの曲が多いのも、特徴的である。
また、Bruno Masrsが制作に参加した⑩などは、いかのもBrunoらしい曲になっている。
アラフォーになったということで、後半にかけてエモーショナルに唄いあげる曲もでてくるが、まだまだ若さを感じさせてくれるのが印象的だ。