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Latest Album Reviews

最新のアルバムレビューです。画像クリックでレビューページに移動します。

Pusha T(弟)、Malice(兄)による兄弟Duoのなんと19年ぶりの3rdアルバム。Def Jamによる②でのKendrick LamarのLyricに検閲を嫌って自主制作によるリリースとなっている。
二人の地元仲間Pharrellが全曲Produceし、相性の良さを示しているが、残念なことにChadは裁判の関係ではずれている。Trackは比較的シンプルでドラム、ベースを効かしたものが多く、Hip-Hopとしてのコアをはずしていないが、バラエティさには富んでいる。多くの曲でキャッチーなVocalが加わって、急にカラフルになるのはPharrellの真骨頂と言えそう。
ゲストも豪華で前出のKendrickに加え、兄弟が母を失ったことを唄う①でのJohn LegendやThe-Dream, Nas, Tyler, The Cretor(自分が購入したCDでは除外されていた。)など豪華で、①ではStevie Wonderによるモノローグも聴ける。
36分強のアルバムによくぞここまで詰め込めたといえる濃厚なアルバムになっている。

ナイジェリア生まれで、今はロンドンをベースに活動するSinger, Song Writer, Obongjayarの2ndアルバム。SoundCloudで作品公開を皮切りに、2010年代後半より本格的に活動している。
サウンドはアフロビートをベースにEDM、R&B、Hip-Hop、Dance Popを巧みに組み合わせており、意外とバラエティに富んでいる。キャッチーでダンサブルな曲も多数。
CDジャケットではワイルドさが目立つが、わりと都会的で、優しい声をしている。⑥では唯一のゲストであるLittle Simzが珍しくアフロでパーカッシブなRapを披露している。

Doja Catの2年ぶりの4thアルバム。前作は原点回帰でHip-Hop色を強めたわけだが、今回は真逆で、今までで一番Popな作品になっている。
Jack Antonoffをメインプロデューサーに据え、サウンドはゴージャスな煌びやかな80’sポップになっていて、ミディアムな曲中心にアップ、スローと取り交ぜた構成。
VocalをベースにRapを乗せた曲がほとんどで、スイートな唄声と力強いラップを別人のように使い分けている。一ランク高いところに到達したことを感じさせつつ、単純に楽しいアルバムでもある。
なお、レビューしたのはCD版であるが、Digital版では⑧にSZAがゲスト参加している。

ロンドンをベースに活動するデュオ, MRCYの1作目と2作目を併せたCD。Barney Lister(Produser), Kojo Degraft-Johnson(Vocal)より構成されるが、トラックはシンセ、ストリングス、ブラスを加えたゴージャスなバンド編成で組み立てられている。
アフロな⑬を除けば、全体の印象はオーセンティックなソウルで、メロウなバラードが多く、一部アップな曲も。サム・クックのようなKojoのVocalもビンテージ感に溢れている。ただ、現代的アレンジも加わっているので、古臭さは感じない。

R&Bシンガー、GIVĒONの2ndアルバム。ロングビーチ出身の30歳で、5年前あたりから、シングル、アルバムをリリースし始めている。年齢的には中堅でもあり、青臭いところはなく、落ち着いて柔らかいバリトンを聴かせてくれる。
サウンドはメロウなスローバラード中心で70年代フィリーソウルを髣髴させる丁寧なつくり。ホーン、ストリングス、シタールなどをフィーチャーしているのも特徴的だ。

2025年春にリリースされたUKのユニット、Saultのアルバム。リリース形態が様々であり、しかも、2022年に同名のEP(重複した曲は無し)をリリースしていたり、“11”というアルバムをリリーズ済みであったりと、若干紛らわしい。
ただ、当作は、とても判りやすい作品になっていて、ソウル、ファンク、ジャズなどをミックスしたようなバンドサウンドで成り立っている。ギター、ブラスなども織り交ぜて、グルーブ感のある曲やメローで流麗な曲などが揃っており、暑苦しくなく、どこかクールなところが特徴といえる。
全曲Cleo Solのソフトで心地よいVocalがフィーチャーされており、彼女のソロアルバムと言ってもいいほど。

New Jersey生まれで、NYをベースに活躍するRapper, ProducerであるMIKEの2025年初頭にリリースされたアルバム。近年、立て続きにアルバムをドロップし、この後も既に一枚リリースしているほどの多作家であり、NYアンダーグラウンドをリードしている人でもある。
ほとんどの曲のProduceを別名のdj blackpowerにて担い、短めの曲が多いので、アイデアから完成までを短サイクルでこなしてそう。サンプリングが主体なのも特徴で、R&B, Jazz、Fusionなどからの落ち着いた曲からの引用が多く、結果、Trackもゆったりとした流麗なものが多くなっている。
これにMIKEの太目なバリトンボイスが加わり、独特な全体感となっている。

今年(2025年)9月の来日前に、突如リリースされたTyler, The Creatorの8作目。前作より9か月というかなり短いインターバルでのリリースとなったが、その分、30分強の短めのアルバムになっている。
コンセプチャルであった前作とは作風も大きく変わっていて、ダンサブルで聴き易いPopな曲がそろっている。このあたり、①にSk8brdという名前で参加しているPharrellの影響が大きい気もする。
80年代のディスコ、ファンク、ハウスを下敷きにしたような曲がほとんどではあるが、そのものではなく、Tylerらしい捻じれた感覚が加わっている。また、多くの曲で本人のVocalも聴くことができる。
単独プロデュースで、これだけのアルバムを作ってしまうとは、Creatorをアーティスト名に持つのも伊達じゃないと思う。

Erika De Casierの4thアルバム。前作より1年と短いインターバルのリリースとなった。
WritingとProduceを自身1人で担い、ゲストも無しということで、極めてプライベート感の強いアルバムになっている。UK寄りのTrackは引き続きだが、トリップホップやアンビエントにもだいぶ近づいており、漂うようなスロー曲で構成されている。これに浮遊感のある囁くようなVocalが一体化している。
北欧の人ではあるが、スタイリッシュさより、茫洋とした空気感に包まれるような感覚を覚える。

特大ヒットとなった前作SOSのデラックス盤2枚組。そのSOSでは100曲以上、レコーディングしたとのことで、そこから19曲を集めたのが一枚目で、二枚目はSOSが丸ごと収まっている。但し、残り物感は全くなく、一曲一曲のクオリティは高く、統一感はSOSより高い気もする。
全体的にSZAらしい、穏やかで柔らかい曲や、懐かしい感じのするメロディアスな曲で占められており、一層の癒しを感じることができる。SZAのナチュラルな歌唱と一体化している。
良曲ばかりであるが、③での盟友Kendrick Lamarとの掛け合いなんか、特に素晴らしい。