2020 Best 50 Albums
2020 Black Music Best 50 Albums by planet.ky
2020 年(ほぼ)リリースのブラックミュージック(R&B, Hip-Hop など) アルバム ベスト 50 です。 ランキングは当サイト独自です。
画像クリックでレビューページへ。
Run The Jewels / RTJ4
3年振りとなるRun The Jewelsの第4弾。今回の拳銃と拳のイラストは金属質なものになっている。アクティビストでもあり、BLMに積極的に反応するKiller Mikeとともに、人種差別に強いメッセージを発するEl-P、この二人の怒りや気概が感じられ、2020年を象徴する作品になっている。コンシャスで政治的なLyricに硬派でストレートはHip-Hopという、典型的な組み合わせな作品としては、ひとつの到達点に達してると思うし、押しの強いRapにTrackは鬼気迫るものがある。Zack De la Rochaや、Mavis Staplesなどの、的を得たGuestも良い仕事をしている。
No.2
Moses Sumney / græ
Moses Sumneyの3年ぶり2作目。外部の助けを得つつ、今回も自身がSong Writing, Produceを行っている。
12曲まで配信でPart1として先行リリースされ、Part2の8曲足してフィジカルでのリリースとなった結果、20曲65分の大作になっている。
Greynessをコンセプトにしており、アルバムとしての統一感は高く、前作同様、耽美的、官能的、内省的で静謐な印象を受ける。
アップ、ミディアム少な目でスローが中心であり、癒されるような曲もあるが、特に前半は緊張感が伝わってくるような曲が多い。高音のファルセットは幻想的で、中間音は生身の人間ぽくと、Vocalもいろいろな表現をとっている。
美意識過剰かなとも思うが、流石の説得力だとも思う。
Chloe x Halle / Ungodly Hour
Youtubeの動画をBeyounceに認められたという、ATL出身の姉妹Duo、Chloe x Halleの2nd album。2018にリリースしたデビュー作ではGrammy2部門にノミネートされ、順調なスタートを切っている。また、Song Writing, Produceに加え、女優としても活躍している。Hip-Hop Soulの王道を行くような作品で、一部では、Gospel, Houseなどの要素も加わり、しっとりとしたメロディアスなTrackもあって、曲調は様々だ。姉妹だけあって、透明で揃った声質によるハーモニーが心地よく、表現力も十分だと思う。まだ22歳と20歳ということで、今後が大いに期待できる。
Rina Sawayama / Sawayama
新潟生まれでLondon育ち、Rina Sawayamaのデビューアルバム。シンガーだけでなく、モデルとしても活躍している人で、また、国籍が日本なため、Mercury AwardやBrit Awardにノミネートされなかったことが話題にもなっている。ジャンル的にはNu-MetalとHip-Hopの融合として捉えられているようだが、これにElectric Popなところも加わり、Lady Gagaが唄っていてもおかしくないような曲も多数ある。宇多田ヒカルや椎名林檎を聴いていたとのことで、特に前者の影響も感じられる。前半は激しく、後半はChoir使いの曲など、ややゆったりめの構成となっている。歌詞、SE、言葉遊び、タイトルなどで部分的に日本語も現れるが、サウンド面で和なところは無い。Lyricは出自や家族など自己のアイデンティティに関わるものやポリティカルなものもあって、社会や環境への怒りみたいなものも感じられる。
Sault / Untitled (Black Is)
UKのユニット、Saultの3作目。レビュー順が逆になったが、2020年に2枚リリースしたほうの1枚目である。全曲ProduceのInfloにSingerのCleo Solがコアになっているようだが、謎の多いユニットである。ベースが強めのR&B、Funkを下敷きにアフロセントリックさが加わったサウンドに、表面はUKバンドらしいクールなところが被さって、何ともカッコ良い。タイトルにあるように、BLMに呼応したようなLyricを女性Voがこちらもクールに唄っている。ただ、抗議だけでなく黒人賛美的なところがあるようだ。20曲と多数だが、美メロな曲など全曲に特徴があって全く飽きさせない。
No.6
Thundercat / It Is What It Is
前作がマルチジャンルで高い評価を受けたThindercatの3年ぶり4作目。今回はほぼ全曲、Flying Lotusとの共同Produceとなっている。前作に比べると曲と唄に比重が置かれているようで、楽器中心のSoul, Jazz, Funk, Rockを取り混ぜたTrackがベースとなっている。もちろん、Thundercatの超絶技巧のBaseも局所で聴くことができる。逆にあまり難解でトリッキーなところは無く、Popになっている気がする。ミディアム中心にアップ、スローと使い分けており、Thundercatがファルセット多用な唄を全編で披露している。
The Weeknd / After Hours
The Weekndの、前作のEPをはさんで、3年半ぶりのアルバム。今の世相にマッチしたのか、チャート1位を獲得している。ちょっと猟奇的なジャケットであるが、トーンはメランコリックで耽美的/官能的な感じで、愛と孤独を唄っている。Max Martin, Oscar Holter, Metro Boomin, OPNなどに入れ替わった制作陣によるTrackは、エレクトリックなR&B / Popで、凝ったアレンジの曲がアップからスローまでバランス良く配置されている。メロディアスで切ない印象の曲が多く、ハイトーンの歌唱も相俟って、胸に訴えかけてくるところもある。
Sault / Untitled (Rise)
ProducerのInfroによるユニット、Saultの4作目。2019年に2枚、2020年に2枚とハイペースでのリリースとなる。ひとことで言うとノリの良いアップ~ミディアム中心のDance Popなのであろうが、下敷きとなるのはFunk, R&Bであり、これに表面的なクールが加わって、懐かしいような絶妙な雰囲気を醸し出している。Trackは電子楽器中心だが、わりとシンプル目であり、数か所で大太鼓のような打楽器を用いて、アーシーなところもあったりしている。抑揚を抑えた女性Vocalは、コンシャスなことを唄っているらしく、単なるDance Bandでは無いことを主張している。
Freddie Gibbs & The Alchemist / Alfredo
Madlibとの2作が好評だったFreddie Gibbsが今度はAlchemistと組んだデュオ作。MCがFreddie Gibbs, ProduceがAlchemistという役割分担になっており、玄人好みの二人が組んだだけに、高クオリティな作品に仕上がっている。サウンド的には、ところどころサンプリングを効果的に用いたストレートなHip-Hopで、緊張感を保ちつつも、メローな部分も多々あったりしている。Freddie Gibbs本領発揮のGangsta, クライムものLyricが主であ、全編が、スムースに繋がってストーリーが通っており、この辺は流石Alchemistである。
Lil Uzi Vert / Eternal Atake
Lil Uzi Vertの2作目。前作同様、チャート1位を獲得している。Guest多数のMixtape集を含んだ2枚組Deluxe盤もあるが、レビュー対象はオリジナルのほうにした。とはいえ、18曲65分の大作でもある。
メインProducerは同じ地元、フィリーのProducer集団、Working On Dyingより、Brandon Finessinに変わったが、哀愁感のあるTrackに唄うようなRapの組み合わせは前作同様。ただ、Trackもフローも力強さが増し、芯が太くなっていて、逆に不穏な雰囲気はやや薄れた気がする。
良い意味で普通っぽくなったというか。Lyricのほうは金、女、自分自慢中心で、こちらは相変わらずだ。