新R&B教室 / 著者 林剛, 荘治虫
Book Review
新R&B教室
マイケル・ジャクソンでつながるソウル/ブギー・ディスク・ガイド 1995-2016
- 最強のR&Bジャーナリストコンビが現行R&Bの文脈で語るキング・オブ・ポップの音盤レビューと、マイケルが好きならこれも聞け!な進化系R&Bを200枚強選盤。 -
3種シリーズのR&Bのディスクガイドのうちの2冊目。↑の帯書き(キャッチコピー)にあるように、 マイケル本人と彼に様々な側面で影響を受けたアーティストの作品を取り上げている。後半ではこれにジャネットも加わっているので、女性Vocalもしっかりカバーされている。
構成としては、冒頭にマイケルのディスコグラグラフィーと、ところどころに彼に関するコラムが17本。これには、Produce面でマイケルを支えたクインシーやテディ・ライリー、ロドニー・ジャーキンスについてのコラムも含まれる。 中盤にジャネットのディスコグラフィーが配置され、残りは本筋のディスクガイドとなる。
ディスクガイドは、ダンス/ブギー編、メロウ/センシティヴ編、キッズ/ヤング・スター編、ヴォーカル・グループ編、ポップ/アイドル編、スウィート/セクシー編といった、 マイケルのアーティスト・ヒストリーや、作風に合わせた6編にカテゴライズされている。 取り上げられているアーティストは、Chris Brown, Ne-Yo, The Weekndなどのもろに影響を受けた人たちをはじめ、 R-Kelly, Smokey Robinsonなどの意外なところや、New Edition, Boyz II MenなどのVocal Groupと多岐に渡っている。 また、女性Vocalでは、Mariah Carey, Ariagna GrandeにMissy Elliott, Aaliyahとこちらも幅広く、マイケルの影響力の大きさをあらためて認識させれる。
1冊目の”新R&B入門”と同じことを書くが、著者が2人のみなので、ディスク選出において寄せ集め感が無く、章ごとのまとまりも良くて、メッセージの一貫性もあるので、安心感がある。 小振りな本であるが、1ページ当たりで紹介しているディスクが2枚のみなので、他のディスクガイドに比べると、記述量が多く濃密で、より深い知識が得られる。 その分、200枚強と数は少ないのはいたしかたないところだが、ジャンルが絞られているので、かえって必要十分な気もする。