2018 Best 50 Albums
2018 Black Music Best 50 Albums by planet.ky
2018 年(ほぼ)リリースのブラックミュージック(R&B, Hip-Hop など) アルバム ベスト 50 です。 ランキングは当サイト独自です。
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Janelle Monáe / Dirty Computer
女優業も好調なJanelle Monaeの4年半ぶり3作目。前作までの組曲作品と違い、新しいコンセプトでの作品。制作陣は引き続きWondaland ファミリーの盟友Nate “Rocket” WonderとChuck Lightningが中心となっており、豊饒なサウンドを紡ぎだしている。
晩年のPrinceと交流があったとのことで、⑧⑭あたりがPrinceっぽい曲になっている。他にもPopでFunkでノリの良い曲が多く、それだけでも単純に楽しめるが、Lyricのメッセージ性は強い。
また、なんとBrian WilsonがOpening曲でビーチボーイズっぽいコーラスを聴かせてくれている。
No.2
Pusha T / Daytona
3年ぶりとなるPusha-Tの3rdアルバム。Kanye Westによる5週連続Produce作EPリリースの皮切りとなった作品である。なお、もともとは前作の続きとして”King Push”というタイトルの予定だったが、作品を表わしていないとして、本人が変更している。また、ジャケ写がWhitney Houstonの浴室のものらしく、こちらも物議を醸している。
このように内容以外での話題が豊富なのだが、中身はKanyeプロデュースらしいHip-Hop作で、時流にとらわれない面白いTrackが多く、力強く粘着質なPusha TのRapと合っている。
LyricはDrugものやHip-Hop界を扱っているようだ。7曲21分の小品なのですぐ終わってしまうのが残念。
Cardi B / Invasion Of Privacy
2018年に大ブレークを果たし、既にQueenの風格も漂うCardi Bのメジャーデビュー作。2019年にはやっとCDもリリースされそうだ。ストリップクラブで働いていた過去を持ち、非DV経験やバイっぽいことを告白したりと、スキャンダラスなPrivacyを持つ人だが、それらをネタに成り上がりで威勢のいい、赤裸々LyricのRapを披露し、これが受けて、ヒットにつながっている。Bronx出身ということだが、そこまでハードコアなものではなくて、自身の出自であるLatin乗りの曲やTrap、Chanceと共演したそれらしいゆるめの曲、Kehlaniとのメローなスローなど、曲調は様々でTrackのほうも十分に楽しめる。
Travis Scott / Astroworld
Travis Scott、2年ぶりの3rd Album。路線は今まで通り、Trapに軸足を置いてはいるがアンニュイでアンビエントな印象は薄れた気がする。前2作以上にGuestが豪華で、どこにどう使われてるか注意深く聴く必要がある(特に⑤)。Travis自体は唄とRapが半々くらいで、Autotuneをところどころ使っているのは今までどおり。個々のTrackが十分に作りこまれており、アルバムの統一感は維持しつつ、それなりバラエティに富んでいて、後半にも捨て曲がないので、かなりの聴き応えとなっている。
Ariana Grande / Sweetener
Ariana Grande の2年振りの4作目。アイドル性とArtistとしての歌唱力という二律背反的な才能を持つひとだが、当作では大人っぽいArtworkからも明らかなように、ぐっとArtistのほうに寄せてきた。
前者の象徴、Mar Martinは一曲のみで、代わりにPharrellが7曲をProduceし、軽妙なHip-Hop Soul、可憐なPop、流麗なバラードのバランスがうまい具合にとれたアルバムになっている。
不幸な出来事にもめげずに、頑張っている彼女だが、クオリティをさらにあげてきたのは流石。
No.6
Noname / Room 25
前作のMix Tapeが高評価だったNo Nameのセルフリリースによるデビュー作。Credit情報が入手できないのだが、Song Writingは本人、ProduceはPhoelixが中心になっていると思われる。
前作からの方向性は変わらないが、より生バンド志向になり、Jazz色が強く、Soul, Funk, Gospel, Classicの要素も聴き取れるような、何とも気持ちよいサウンドに仕上がっている。
つぶやくようで落ち着いたRapや唄も相変わらずで、押しつけがましくないところが好ましい。
コマーシャリズムに染まらずに、このまま進んでほしいものである。
The Internet / Hive Mind
一人減って5人になったThe Internetの3年ぶりのメジャー3作目。個人活動も好調で”Odd Future所属の”という枕詞がいらないくらいメジャーになり、一種の余裕が感じられる。Guestもなし、Produceも自身のみでの構成は、バンドとしての自信の表れであろう。抑制が効いて必要以上に盛り上がらないサウンドはまさにクール。TrackはJazzやLatinもとりいれつつ、hip-hop的感覚を忘れてないところが良い。Sydの静謐で浮遊感漂うVocaに加えSteve Lacyも数曲歌っている。
Kamasi Washington / Heaven And Earth
Kamasi Washington、2018年夏リリースの作品。EPを一枚挟んで、今回も3枚組(1枚はBonus)で、合計すると3時間を超える。
半数以上の曲にOrchestraとChoirが参加した文字通りの超大作で、一大黒人音楽絵巻でもある。
Accoustic Jazzをベースにしながら、Latin要素を強めにして、AfricanもMixしたような独特の世界観が提示されていて、ゆったりとしたスピリチュアルなTrackを中心に、曲自体はメロディアスでわかりやすいものが多い。それに加え、Vocalや各Musicicanのソロパートもきっちり織り込まれていて、本当にお腹いっぱいな内容なので、覚悟して聴く必要がある。
Tierra Whack / Whack World
1995年生まれでフィラデルフィア出身のFemale Rapper, Tierra Whackのデビュー作。InstagramのStoryの長さに合わせた1分間の曲をインターバル無く15曲繋ぎ合わせた、つまり15分の作品。同じ構成のMVはGrammyにノミネートされている。ただこの構成は気まぐれによるものらしく、崇高なコンセプトなどが無いところがかえって清々しい。Trackは、ミニマルな感じで、緩やかで落ち着くようなものが多く、バックは楽器がベースとなっている。業界にメジャーなメンターがいるわけでもないので、どこの流派にも属さないユニークなところがある。(敢えて比較するならNonameあたり)。唄2:Rap1程度の割合なのだが、声と唄い方を曲によって使い分けているので、何人もマイクをとっているように感じられるが、もう一つの特徴だ。
Blood Orange / Negro Swan
前作が高評価を集めたBlood Orangeの2年振りとなる4作目。本業のProducerとしても好調だが、今回も本人のSong Writing, Produceによる、密室的な作品になっている。ちなみにCDジャケットに移っているのは本人ではなく、黒人モデルらしい。
Trackは楽器とデジタルをうまく融合していて、全体感はメロウでアーバンなものに統一されている。
メロディのクオリティは高く、ファルセットを多用するDev HynesのVocalと相俟って、耽美的だ。
Lyricは本人も言っているように、人種的、性的マイノリティをテーマにしつつ、Positiveなところもあって、一層パーソナル感を出している。ところどころの雑踏の音を使ったようなSEが、都会の孤独感をあらわしている気がする。