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Book Reviews

R&BやHip-Hopをテーマにした書籍のレビューです。 出版日の新しい順になっています。

Book Review

ブラック・パワーに捧ぐ

Black Power In 2020

編集人

野田努, 小林拓音


出版社

(株)Pヴァイン


ページ数 / サイズ

191ページ / 14.9 x 1.2 x 22.1 cm


発売日

2020/9/9


定価

1800円(税抜き)

- 世界はなぜ黒い物語を必要とするのか -
大きなうねりとなった2020年のBLM運動に呼応して、黒人文化やアメリカにおける歴史、運動を広く特集した本。 音楽だけをとりあげているのではないが、大きく紙面が割かれている。

その音楽面では、2010年代ブラック・ミュージックの50枚、2010年代デトロイトの50枚、コンシャス・ラップの30枚といったアルバムガイド、 Nina Simmon、John Coltraneから、Geourge Clinton, Princeにいたるまでのミュージシャンについてのコラム、 Jeff Millsのインタビューなどが掲載されている。(どうも黒人運動の中心としてデトロイトに焦点をあてているようだ。)
音楽以外には、活動家、思想家のインタビュー、コラム、代表的な小説や映画についてのコラムも。 さらに文化面以外では、BLM運動や、奴隷制度に遡ってからのアメリカ黒人の歴史といったシリアスな内容も、含まれている。 これを読めば、アメリカ黒人の歴史と今が判るとまではいえないが、その一辺と苦悩がすこしでも認識できると思う。


Book Review

ケンドリック・ラマー

世界が熱狂する、ヒップホップの到達点

編集人

岩本太一


出版社

(株)河出書房新社


ページ数 / サイズ

207ページ / 14.9 x 1 x 21 cm


発売日

2020/3/30


定価

1300円(税抜き)

ご存知Kendrick Lamarのアーティスト特集本。冒頭は、日本人Rapper8人のKendrick Lamar体験が載っていて、個人個人がいつから注目して、何に感銘を受けたか、などのインタビューとなっている。 自分にとっては、名前を知っている程度の人たちだが、それぞれの受け止め方があって、興味が持たれた。紙面も多く割かれていて、このパートが本書の目玉になっている。
加えて、Kendrick Lamarをとりまく、Gangsta Rap、BLM運動、黒人文学、フローなどについて文化人、評論家などによる数ページのコラムでは、深堀された議論が展開されている。
お決まりのDisk Guideはオリジナル5枚についてのもので、発売前後でなく、今から振り返ってのレビューであり、約10年のAritist活動のなかでの位置づけを再認識することになる。 他には黒人文化・運動に関わる、立役者についてのコラム、同様のBook Reviewなども載っている。


Book Review

MPC Impact

テクノロジーから読み解くヒップホップ

著者

大島 純


出版社

(株)リットーミュージック


ページ数 / サイズ

255ページ / 18.6 x 12.8 x 2 cm


発売日

2020/1/23


定価

1800円(税抜き)

AKAIのMPCシリーズを中心にサンプラー、ドラムマシーンの進化と、それに伴うHip-Hopミュージックの歴史を著した作品。
Marley Marl, Pete Rock, DJ Premier, J Dillaなどの革新的ビートメーカー / Producerrが工夫とアイデアでデバイスの能力を駆使して、ビートを作り出してことに焦点を当てつつ、 きっちりとした取材をもとに、デバイスの作り手側のエピソードも明らかにしている。
Hip-Hop Musicがテクノロジーとともに進化してきたことが、大きな特徴であることがよく判る。 デバイスへの知識が浅い自分でも十分楽しめたし、一気に読むことができた。


Book Review

ギャングスター・ラップの歴史

スクーリー・Dからケンドリック・ラマーまで

著者

ソーレン・ベイカー / Soren Baker, 塚田桂子 (翻訳)


出版社

DU Books(株) ディスクユニオン


ページ数 / サイズ

267ページ / 25.8 x 18.4 x 2.2 cm


発売日

2019/9/27


定価

2500円(税抜き)

- The Rise of a Great American Art Form -
タイトル通り、ギャングスタラップの歴史を著した本。 サブタイトルには、"スクーリー・Dからケンドリック・ラマーまで"とあるが、NWAやそのメンバーであったEasy E, Dr. Dre, Icecube,にIce-T, Snoopなど、ギャングスタラップと言って思い浮かぶ面々の動静にページが割かれている。
加えて、サブストリームとして、Ghetto Boys, Master P, 50 Centなど他の地域にArtistや、東西抗争などの出来事, Priority, Ruthless, No limitなどのレーベルの栄枯盛衰についても触れている。
これらのArtistやトピックについて、筆者の見解や主張は抑えつつ、史実に基づいて記述されており、全体としてはギャングスタラップがマイナーな存在から、市民権を得て、メジャーなものへ長していくさまが描かれている。同様にRapperがビジネスやスクリーンの世界で成功していくことも。 逆に作品についての記述は少なく、ライムについてはまだしも、サウンドについてはほぼノータッチである。
メインの文章に加え、Rap年表や、大小のコラムが多数と、読みづかれない構成にはなっているが、ページ数もそこそこ多く、字も大きくはないので、読み応えは十分となっている。


Book Review

コンタクト・ハイ

写真でたどるヒップホップ史

著者

ヴィッキー・トバック / Vikki Tobak, 押野素子 (翻訳)


出版社

(株) スペースシャワーネットワーク


ページ数 / サイズ

286ページ / 29.6 x 22.9 x 1.8 cm


発売日

2018/12/24


定価

3600円(税抜き)

- Contact High a Visual History Of Hip-Hop -
Hip-Hop黎明期の1979年から2012年まで、主に当時、旬だったアーティストの写真を時系列的に並べた写真集。 見開き左にコンタクトシート(写真の縮小版を一覧にしたシートのこと)、右に代表となる写真一枚と解説みたいな構成になっている。
アーティストはKool Hercに始まりA$sap Rockyまでで、東西南に偏らず、幅広い対象となっているが、歴史的理由で前半は東が多い。 写真は、アルバムのジャケ写、雑誌のビジュアルなどの撮影時のものが多数。前半はモノクロ、後半はカラーが多い。
解説として、カメラマンによるカメラマン視点での撮影時のエピソード、アーティストの印象や振舞いなどが記載されており、これがなかなか興味深いので、英語に堪能な人以外は日本版をお薦めする。 とはいえ、アーティストの写真は瑞々しく、リアルで、当時の勢いを感じさせるものであり、こちらがもちろん主人公になる。
大判なので書棚に収まらない可能性もあるが、リビングに置いておいても様になる写真集である。


Book Review

ライムスター宇多丸の

「ラップ史」入門

著者

宇多丸, 高橋芳朗, DJ YANATAKE, 渡辺志保


出版社

NHK出版 NHK-FM 「今日は一日"RAP"三昧」制作班編


ページ数 / サイズ

284ページ / 21.2 x 14 x 2.2 cm


発売日

2018/10/30


定価

1600円(税抜き)

Hip-Hopグループ、ライムスターのMC宇多丸が司会進行をつとめたNHK-FMの10時間番組での会話をそのまま書き起こした書籍。 1970年代から2010年代までを5章に区切り、当時の空気感、Hip-Hop界の動向や傾向からはいって、ヒット作、ヒット曲、売れたアーティスト、事件などを幅広く紹介し、感想やコメントを加えている。 FM放送の書き起こし、相当の準備をして臨んだと思われ、また、偏りが無いのも好感が持たれる。
メインテーマはUSのHip-Hopの歴史になるが、それに対し、日本のHip-Hopが、どう反応し、どう創意工夫して、進化していったかについても触れている。 日本人の会話文であり、ユーモアに満ちているので、大変判りやすく、読みやすい。
また、入門というだけあって、文中に出現する人名その他の用語についても、丁寧な解説が載せてあるので、初心者にも安心かと思われる。
宇田丸に加えゲストのいとうせいこう、BOSE、ZEEBRA、ライムスター、DJ IZOH、漢 a.k.a. GAMI、BAD HOPといったアーティストの視点からの捉え方が現場感を加えている。 渡辺志保によるHIP-スラングについてのコラムもあり、これはこれで興味深い。


Book Review

シティ・ソウル ディスクガイド

1970s-2010s シティポップと楽しむ ソウル、AOR&ブルー・アイド・ソウル

編著 / 著者

小渕 晃 / City Soul Collective


出版社

DU Books(株) ディスクユニオン


ページ数 / サイズ

207ページ / 20.8 x 14.8 x 1.8 cm


発売日

2018/5/31


定価

2000円(税抜き)

タイトル通り、シティ・ソウルのディスクガイド本。1970年から2018年までのディスクが取り上げられている。 シティ・ソウルって個々人があいまいな括りで捉えていると思うが、本書では、 ”制作者の深い音楽知識、リスニング体験をもとに、ソウルとジャズ、ロックなどのクロスオーヴァーにより生みだされるポップミュージック”としている。
そんなことで、James Taylor, Elton John, Eagles, Paul Simonのタイトルも含めれており、大分、間口が広く、ライターの嗜好も反映されている気がする。
また、冨田恵一、クニモンド瀧口、G.Rina, DJ Jinによるエッセイも掲載されており、彼らなりのシティ・ソウル感も伝わってくるし、アーティストの造形の深さに毎度感心する。
アルバムではなく、そこから特にシティ・ソウルらしいシングルを選んでいることが特徴的でもある。 全部で580タイトル弱が選ばれているが、その中でも1975-1979と1980-1983からの選出が多く、つまり、シティソウル全盛期が1980年を挟んだ10年くらいだったことが判ってくる。


Book Review

ラップ・イヤー・ブック

The Rap Year Book イラスト図解 ヒップホップの歴史を変えたこの年この曲

著者

シェイ・セラーノ Shea Serrano


出版社

DU Books(株) ディスクユニオン


ページ数 / サイズ

239ページ / 22.6 x 19.6 x 2.2 cm


発売日

2017/1/1


定価

2500円(税抜き)

- The Most Important Rap Song From Every Year Since 1979. Discusses, Debated and Deconstructed. -
Rapの黎明期、1979年から2014年まで、毎年、代表曲を一枚選び、解説を加えた書籍。 ちなみに、1979年はご存じThe Sugarhill GangのRapper’s Delightで、2014年はRick Gang feat. Young Thug and Rich Homie QuanのLifeStyleであり、選曲は前半のほうが的を得ている気がする。
1曲ごとに正味5ページを割いていて、解説やイラストは面白おかしく、Rhymeの特徴的な部分部分をとりあげたチャートも有ったりして、わりと読みやすい。 また、”反論”として、毎年もう一曲、小コラムで紹介されている。
代表曲をストリーミングで2回ぐらいループさせながら読み、1曲分5ページ進んで、一区切りするという読み方が適している。(自分はそうしました。)   また、全体を通して、読むと、Rapの歴史を一通り学べるありがたい本でもある。


Book Review

R&B馬鹿リリック大行進

〜本当はウットリできない海外R&B歌詞の世界〜

編著

高橋 芳朗, 宇多丸, 古川耕, TBSラジオ「ライムスター宇多丸のウィークエンド・シャッフル」


出版社

スモール出版


ページ数 / サイズ

330ページ / 18.8 x 13 x 2.5 cm


発売日

2016/2/37


定価

1600円(税抜き)

Hip-Hopグループ、ライムスターのMC宇多丸がMCをつとめたTBSラジオ番組"ライムスター宇多丸のウィークエンド・シャッフル"の2009年から2013年までの放送より、計5回分を書き起こした書籍。 タイトルでは、R&B馬鹿リリックということになっているが、ほぼエロ/下ネタに終始している。
特にこの分野の第一人者であり、唯一無二の存在、R.Kellyの作品より、エロリリックの解説が70%程度を占めていると思われる。 多くのアルバムの曲が引用されているが、特にUntitledをBlack Pantiesについては、ほぼ全曲解説に近い、力のいれようである。
その次はNextで、こちらは20%くらいか。 他には、Dwayne Wiggins, Cisqo, Pleasure P. Bobby Valentino, Tweet, Trey Songz, The-Dream, Jeremihなども1-2曲、取り上げられている。
リリックの内容については割愛するが、Artistの想像力、比喩力、欲望の強さには脱帽するし、こんな歌詞をまじめな顔して、唄ってたのかと改めて感心する。 厚めの本であるが、内容が内容だけに、気軽に読めるし、ところどころ吹き出してしまうことは間違いない。 ストリーミングで曲を聴きながら、読み進めるのが良いと思う。